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【壬申の乱】古代最大の反乱はなぜ起きたのか【大海人皇子】

こんにちは。本宮 貴大です。

壬申の乱は、天智天皇があいまいにした皇位継承による揉め事が原因でした。壬申の乱に勝利した天武天皇は、独裁政権を樹立し、大化改新以降、遅れていた中央集権化を強引に推し進める結果となりました。

 672年に起こった「壬申の乱」は、古代における最大の内乱でした。大化改新を成功させた中大兄皇子は、長らく皇太子の地位にとどまって、陰で政治をとっていたが、667年、近江大津宮へ朝廷を移し、翌年、正式に即位して天智天皇となった。
 天智天皇には大海人皇子という弟があり、この人物が皇位継承者として有力視されていました。
 ところが671年、天智天皇は息子の大友皇子太政大臣に任命し、政治運営を任せたのである。太政大臣に就任したということは、皇太子になったと同様の意味を持ちます。
 しかし、大友皇子の母は、采女(うぬめ)という身分の低い女性でした。血筋や家柄を重視する当時の慣例において、皇位を継承する資格を有するのは、皇族や有力豪族出身の皇后から生まれた皇子だけでした。
ましてや、天智天皇には、同母弟があり、皇位は兄弟相続が原則であったにも関わらず、天皇はこれを無視し、あえて寵愛する大友皇子を後継者に選定しようとしたのだ。この動きに身の危険を感じた大海人皇子は、頭を丸めて皇位をのぞむ意志のないことを天皇に告げ、大津から100キロ以上離れた吉野の地に家族を連れて隠棲してしまった。

これによって、大海人皇子大友皇子皇位継承をめぐって対立しました。

671年、天智天皇は、死の床に大海人皇子を呼び、「あとを継いでほしい」と言いました。
これは自分を陥れる罠であると見抜いた大海人皇子は、
皇位は兄上の后に譲り、あと継ぎは、大友皇子になさると良い。わたしは僧になって兄上の病気回復を祈ります。」
こう言い残して、大友皇子は、妻(後の持統天皇)とともに吉野(奈良県吉野市)に籠りました。

671年12月、天智天皇が亡くなりました。
翌672年、吉野にいる大海人皇子のもとに、大友皇子天皇の墓をつくるための土木工事などを理由に人を集め、武装させているという情報が入りました。
他にも、朝廷が大海人皇子たちの食料を運ぶ道を閉ざそうとしているという知らせも入りました。
これによって、大友皇子が自分を攻め滅ぼそうとしているのだと気づいた大海人皇子は、朝廷軍と戦うことを決意しました。

大海人皇子は吉野を脱出して領地のある美濃国岐阜県南部)へと向かい、途中で応援の軍を求めました。
その結果、伊賀国三重県西部)、尾張国(愛知県西部)、大和国奈良県)など。
彼ら豪族たちは、天智天皇の政治に不満を抱いていました。近江大津宮への遷都強行や朝鮮出兵白村江の戦い)の失敗、改新の詔に見られるような豪族勢力の削減施策などが不評を買っていたのである。
それが天智天皇の死とともに不満は噴出したのでした。

こうして近江の朝廷に不満を持っていた各地の有力豪族たちが味方に付き、大海人皇子の長男・高市皇子(たけちのおうじ)も連絡を受けて駆けつけたことで大海人皇子の軍は数万となりました。
こうして万全の体制を整えた大海人皇子の軍は、準備の遅れをとった大友皇子の朝廷軍と各地で戦いました。

7月、両軍は大和の箸墓(奈良県桜井市)付近で激しく戦い、大海人軍の勝利に終わりました。
また、近江方面でも大海人軍は、近江朝廷軍を各地で打ち破り、大勝利を治めました。
近江朝廷の人々は各地に逃げ、大友皇子も逃れようとするも、追い詰められ、これまでとみて自害し、戦いは終わりました。

こうして、わずかひと月ほどの戦いで、大海人皇子は近江の朝廷を滅ぼしたのでした。
近江朝廷側の主な役人たちは次々に流罪に処されました。
この戦いを壬申の乱といいます。

672年の冬、大海人皇子は廃墟となった大津宮から都を飛鳥(奈良県明日香市)にもどすことにし、飛鳥浄御原宮を造営しました。
そして翌673年に即位して天武天皇となりました。
現在の日本の衆議院解散総選挙などを思い浮かべるとわかるように、自ら大きな争いに打って出て、そのうえで勝つと、その後しばらくは堂々と逆らう者はいなくなります。
壬申の乱を制した天武天皇は、その後カリスマとして大きな権力を握るようになりました。
その証拠に、奈良時代に編纂された歌集の『万葉集』には、天武天皇を神として称える次のような歌が掲載されています。
大王は 神にしませば 水鳥のすだく 水沼を 都となしつ
天皇は神でいらっしゃるから、水鳥が群がり集まっている沼でも都につくりかえてしまわれた。)

このように近江朝廷を倒した天武天皇の政治権力は強大なもので、今後、大化の改新後、遅れていた中央集権化への政治改革が推し進められていくのでした。
以上

参考文献
日本の歴史 旧石器~平安時代   ポプラディア情報館
早わかり 日本史    河合敦=著   日本実業出版社
読むだけですっきりわかる日本史     後藤武士=著  宝島社文庫
聞くだけで一気にわかる日本史       馬屋原 吉博=著 アスコム