なぜ、数学の教科書は理解しにくいのか。
こんにちは。本宮 貴大(もとみや たかひろ)です。
この度は、記事を閲覧してくださって本当にありがとうございます。
今回のテーマは「なぜ数学の教科書は理解しにくいのか。」というお話です。
是非、最後までお読みくださいますようよろしくお願いします。
数学は抽象的な学問の典型例。「抽象的な表現」は「具体的な表現」に変えて理解する。そうすれば数学が単なる数字の羅列だとは感じなくなります。教科書の数学の説明はあまりに具体性と実用性が低いから理解しにくいのです。
あなたは数学が得意ですか。数学が苦手な人は本当に多いと思います。
なぜ数学ってあんなに難しく感じるのでしょうか。結論を最初に言うと数学の教科書や参考書に書かれている文字や数字があまりに具体性と実用性に欠いているからです。
以下の文章は数学の教科書に書いてある文章です。
「関数とはある2種類のことに関して片方が決まると、もう片方が決まるという対応関数のことを言います。」
これは関数の定義のことですが、こんな抽象的な表現では分かりにくいのも当然です。これを具体的な表現に直してみましょう。
「1時間にクルマが10台生産される工場があります。この工場では2時間で20台、3時間で30台・・・となり、時間が決まれば生産台数が決まります。この関係が関数です。」
いかがだろう。抽象的で想像しにくかったものに具体性が出てきて理解しやすくなったのではないでしょうか。
数学は全ての学問の中でその抽象度の高さはトップクラスです。そんなただでさえ抽象的な数学を言葉という抽象的なツールで説明されてもわかるわけがありません。
では、どうしたら良いのでしょうか。「抽象的な表現」は「具体的な表現」に直して理解するようにするべきです。すなわち、数学の教科書に書かれてある表現を私達の身の周りのものに引きつけて考えるのです。 では、仮に前者を「抽象的概念」、後者を「具体的行動」として考えてみることにしましょう。
以下の文章は三角関数について説明した文章です。
「三角関数とは直角三角形の直角でない部分の角の大きさによって二辺の長さの比率が決まる法則のことです。」
全くこれでは、「だからどうした?」と感じてしまいます。
このような表現では、たとえ教科書の図や説明文を読んでも具体性や実用性が全く感じられません。そこで「抽象的概念」を「具体的行動」に直して考えてみるのです。
実は数学とは私達の日常生活のあらゆるところで活躍しています。それを知れば数学の理解は俄然深まるのではないでしょうか。
三角関数を理解するためには世の中の何に利用されているかを調べることです。数学は世の中の至るところで活躍しています。三角関数は測量に利用されます。
測量は三角関数を利用して建物の高さや敷地の面積を測ったりしているのです。
また、積算ってご存知ですか。建物に使われる材料の価格に面積を乗じて見積もりを作ることですが、これにも三角関数が応用されています。例えば屋根などの斜辺が含まれている面積も三角関数を応用すれば求められます。また、土木系では坂道を造るときにどれだけの建材が必要になるかどうかということも予測出来るのです。それを知っているとサイン、コサイン、タンジェントを用いる三角関数は、単なる難解な計算ではなくなるのではないでしょうか。
また、ベクトルについて考えてみましょう。教科書には「ベクトルとは大きさと方向を持つ数量」と説明されています。
なんで言葉だとこんなにわかりにくいのでしょうか。抽象的概念は具体的行動に直して理解しましょう。ベクトルは世の中のどんなところで役に立っているのでしょうか。
それは航空機やヘリコプターです。
では、航空機を例にとって考えてみましょう。
航空機にはジェットエンジンによって生じる前に進もうとする推進力。
推進力によって機体に当たる風の力を空気抵抗。(自転車を猛スピードで走ると風を感じますよね。あの力です。)
リンゴが下に落ちるのと同じように飛行機が下に落ちようとする重力。
そして上へ舞いあがろうとする揚力。この4つのベクトルを応用して航空機は飛んでいます。
このように航空機が空を飛ぶ仕組みは、ベクトルの合成や分解の考え方を応用させているのです。ヘリコプターも同じです。
あなたが数学をやっていてよくわからない、理解しにくいと感じる箇所の多くは、具体性に欠けている箇所。あるには想像しにくい場所である。
そういう単元があったら、ここに書かれていることは現実世界でどのような所で役にたっているのだろうとか、何に応用出来るだろうと考えてみることで、数学の理解がしやすくなるのです。
「抽象的概念」と「具体的行動」。これらは数学と算数の関係だと思います。両者の決定的な違いは、数学は抽象的な事柄を扱う教科であり、一方で算数は具体的な事柄を扱う教科であることです。数学が得意だった小学生が中学生に上がって数学が出来なくなるのは、いきなり抽象性の高いものになってしまうからでしょう。
そもそも数学という学問も、「具体的行動」から生みだされた学問です。数学は全て具体性を持たせることが出来ます。
17世紀の哲学者ルネ・デカルトという人物をご存じだろうか。彼は哲学者ですが、数学者でもり、物理学者でもあるのです。そうです。数学に出てくるX座標、Y座標という座標軸を生みだした人です。
彼は夜更かしばかりしており、午前中に起きることはめったにない。いつものようにベットに寝転がってぼんやりと天井を眺めていると、一匹のハエが天井に張り付いた。
そこでデカルトはあのハエの位置を正確に表現するにはどうしたら良いか考えました。天井は格子模様であった。デカルトは縦と横にそれぞれ等間隔で数字を与えればハエの位置を正格に表現することが出来るということを思いついた。こうして座標軸がうまれたのです。
また、確率という単元もいかにしてカジノでの賭け事に勝てるかを考えたところから発達した数学なのです。数学がうまれた背景も何も説明されないまま、教科書を読んだり、先生の話を聞いても理解しにくいのは無理もないことです。
抽象的な学問の代表である数学でさえ、具体的な事柄から生まれているのです。
以上。
今回も最後まで読んで頂き、本当にありがとうございます。
本宮 貴大でした。それでは。