日本史はストーリーで覚える!

日本史を好きになるブログ

【どう違う?】金閣寺と銀閣寺

こんにちは。本宮 貴大です。

今回は「【どう違う?】金閣寺銀閣寺」というテーマでお伝えしたいと思います。 

 京都の町は三方を山に囲まれていて、北側の山地を北山、東側の山地を東山、西側の山地を西山とよんでいます。北山のふもとには金閣寺鹿苑寺があり、東山のふもとには銀閣寺(慈照寺があります。

 金閣寺室町幕府3代将軍・足利義満が北山に建てた山荘(別荘)の一部が、銀閣寺は室町幕府8代将軍・足利義政が東山に建てた山荘の一部が、それぞれの死後に寺院となったのです。

 室町時代の文化はこのふたつの山荘にちなんで、義満の時代を中心とした室町時代前期(14世紀~15世紀はじめ)の文化を北山文化、義政の時代を中心とした室町時代後期(15世紀後半)の文化を東山文化とよんでいます。

 北山文化と東山文化をそれぞれ代表する建物が、義満のたてた金閣と義政のたてた銀閣です。金閣銀閣には共通した点もありますが、義満と義政の性格や時代背景の違いから、対照的な側面も目立ちます。

 

 足利義満は、将軍職を子の義持にゆずったあとの1397年から北山山荘の造営を始めました。1398年、この山荘内に舎利殿(釈迦の遺骨を納めた建物)として建てられたのが金閣です。

 金閣は本来、法水院と呼ばれており、3層の楼閣からなります。国風文化以来の貴族の邸宅を象徴する寝殿造風と、武家屋敷を象徴する建築様式が結合した構造になっています。

 具体的には、1層目は極楽浄土を表現する寝殿造阿弥陀堂、2層目は潮音堂と名付けられた書院造観音堂。3層目は禅宗の仏堂形式になっています。壁には金箔が貼られ、舎利殿と同時に社交の場としても利用されました。

 そして金閣の屋根の上には、これまた金箔な鳳凰が置かれています。古来中国では鳳凰は不死身の象徴とされていましたが、義満は自身を鳳凰に見立てて飾ったと言われています。

 このように金閣には、武家として公家としても栄華を誇った義満の生涯の縮図をみることができ、そんな義満が最後に願ったのは、鳳凰のような不老不死だったのかも知れません。

 北山山荘は義満が政治から身を引いて静かに暮らした場所ではなく、新しく政務を執る場所としてつくられた場所でした。この北山山荘を中心に、将軍家を中心とする武家文化が誕生していきます。室町幕府禅宗臨済宗)を保護したことから禅宗の文化が発展し、禅僧らによる五山文学がさかんになり、世阿弥によって能が大成されました。

 

 足利義政は、義満の北山山荘にならって、1482年から東山山荘の造営を始めました。1489年、山荘内に観音殿(観音像を納めた建物)として建てられたのが銀閣です。義政はこの建物を銀箔仕立てにするつもりだったといわれていますが、この頃の室町幕府の財政的に実現はしませんでした。銀閣と呼ばれるようになったのは江戸時代からです。

 銀閣は2層の楼閣からなり、基層は書院造の真空殿で、武家の住宅様式であると同時に坐禅の道場でもあったようです。2層目は禅宗様の潮音閣(仏閣)で、火灯窓とよばれる、炎をかたどったような形の窓にその特徴がみられます。また、義政は作庭に精通しており、憧れていた西芳寺(さいぼうじ)の庭園に倣い、銀閣の庭園をつくり上げました。その後、江戸時代初期に庭に白砂が敷き詰められたとされ、現在の銀沙灘(ぎんしゃだん)が出来上がりました。この白砂が織りなす世界観が銀閣の名の由来ではないかとされています。

 そして、銀閣の屋根の上にも、青銅の鳳凰が置かれています。内部の観音菩薩を守護するために置かれたのではないかとされています。

 東山山荘は、公的な建物ではありませんでした。義政はここで政治から離れて、文化に励み、静かに暮らそうとしました。

 義政の時代は、農民たちの土一揆が相次ぎ、諸国に飢饉が蔓延するなど不安定な社会情勢でした。それに追い打ちをかけたのが、1467年に勃発した応仁の乱で、京都は瞬く間に火の海となりました。義政は、そんな社会情勢に責任をもって政務を執ろうとはせず、銀閣に隠居してしまいました。一方で、義政は宗教的儀式を行うために銀閣を建てたとも言われており、仏にすがることで平穏を求めようとしたのかもしれません。

 いずれにせよ、政治よりも文化を楽しむ義政の保護のもと、多くの芸術家が才能を伸ばす機会を与えられ、個人が楽しむ生活に根差した文化が生まれました。その代表例が、書院造の建築様式や枯山水の庭園、茶の湯や生け花、さらに雪舟によって大成された水墨画も挙げられます。

 

つづく。

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

本宮貴大でした。それでは。

参考文献

日本の歴史2  鎌倉~安土桃山時代  木村茂光=監修 ポプラ社

縄文時代から近代まで一冊でわかる 芸術・美術・建築からわかる日本史  小和田哲男=著   成美堂出版