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【宇治拾遺物語】鎌倉時代の説話集をわかりやすく

こんにちは。本宮 貴大です。

今回は「【宇治拾遺物語鎌倉時代の説話集をわかりやすく」というテーマでお伝えしたいと思います。

 

中世には、民間に広く知られている物語を集めるという体裁をとりました。多くの説話集が作られましたが、その内容は大きく二分出来ます。

【仏教説話】

鎌倉時代は武士が台頭し、互いに争う激動の時代でした。そんな不安定な時代を反映して、仏教に救いを求める人々が多くなりました。それを受けて編まれ、出家した人々の逸話、仏の奇跡などを中心とした逸話集です。その代表作には『発心集』、『沙石集』などがあります。

【世俗説話】

当時の民衆の生活や感情の動きを描いた説話。その代表作には『宇治拾遺物語』、『古今著聞集』、『十訓抄』などがあります。

 

仏教に救いを求めた説話集 『沙石集』

1283年に僧の無住によって著されました。無住は1226年に鎌倉で生まれ、18歳で出家。東国で修行後、京の寺などでも仏教の経典を学びました。『沙石集』は約120話、全10巻。読み手に道徳的・思想的に望ましい方向に導くことを目的とした仏教説話を多く載せています。

 

広く愛された説話集 『宇治拾遺物語

かつて宇治大納言・源隆国が宇治で避暑していたとき、道行く人を呼び止めては、聞き取りをし、それを物語として「宇治大納言物語」にまとめました。その物語からこぼれた話を集めてつくったのが『宇治拾遺物語』であり、その名前も「宇治大納言物語」が由来であるとされています。

宇治拾遺物語』は、12世紀から13世紀前半に成立したと考えられています。編者は未詳ですが、説話文学を代表する作品で、貴族・僧侶なども笑いの対象とする。その一方で、弱者へ向けるまなざしは温かい。鋭い人間批評や風刺、皮肉がきいているものも少なくなく、多彩な話題と巧みな人間描写によって人々に愛読された。

内容としては、全15巻・197話の説話を分類せず雑然と並べ、各巻の話数も一定していません。仏教説話(約80話)と世俗説話(約120話)に大別できる。物語の舞台は日本だけでなく、インド、中国にも及び、登場人物も天皇・貴族から武士、庶民、盗賊など社会の全階級に及んでいます。

本書の笑い要素のある内容は、後世の仮名草子浮世草子、さらには近世の芥川龍之介などにも影響を与えました。

 

今昔物語集につぐ説話集 『古今著聞集』

1245年にいったん成立。後年に増強されました。橘成季(なりすえ)が晩年にまとめたものです。成季は生没年不明です。

主に日本の世俗説話集約700話を、ほぼ年代順に配列しています。全20巻で、全説話を勅撰和歌集を意識した形式で、30編に分類しています。テーマは、「文学」「和歌」「武勇」「変化」「草木」など幅広い。『今昔物語』につぐ規模の説話集です。中世の主役である武士の話がほとんど見られず、貴族の生活を扱った説話が多い。

 

若者たちを‘善‘に導く 『十訓抄』

1252年に成立。編者は未詳。約280話の世俗説話を、10編に分類しており、全3巻にまとめられています。教訓に従った例、従わなかった例と、説話に求めて集めている。

 

つづく。

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

本宮貴大でした。それでは。

参考文献

日本の歴史2  鎌倉~安土桃山時代  木村茂光=監修 ポプラ社 

中学 見て学ぶ 国語     受験研究社