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【社会主義とは?】資本主義と社会主義はどう違うのか

 こんにちは。本宮貴大です。

 この度は、記事を閲覧して頂き、本当にありがとうございます。

 今回のテーマは「【社会主義とは?】資本主義と社会主義はどう違うのか」というお話です。 

 社会主義とは一体どういう考えなのでしょうか。資本主義と比較しながらみていきましょう。

資本主義

社会主義

18世紀末から発展

19世紀末から発展

生産手段を私有

生産手段を共有

私的利潤を認める

私的利潤を認めない

資本家の国

労働者の国

自由競争社会

平等社会

市場経済

計画経済

自由放任主義

政府主導の経済政策

アダム=スミス、ケインズ 

マルクス

   

 資本主義の問題点を解消するために誕生した政治思想が社会主義です。

 資本主義の最大の問題点、それは、「貧富の差」が生まれたことです。

 なぜ貧富の差が生まれたのでしょうか。

 例えば、ある洋服を商品として製造するには土地や建物、機械設備、社員が必要ですよね。これらの生産手段を資本と呼び、これらを有している人を資本家(社長)と呼びます。

 資本家は資本をフル活用して商品・サービスを製造し、人々に販売し、利潤を得ます。得た利潤は設備に投資し、新しい会社をつくるなどして、さらに儲けを増やしていきます。

 一方、資本家に雇われて働き、毎月お給料をもらう人達を労働者(社員)と言います。しかし、労働者の給料は本当に限られており、暮らすだけで精いっぱいです。節約すれば、貯金は出来ますが、資本家が貯める莫大な財産から比べたら、すずめの涙です。

 それもそのはず。資本家は労働者にあまり給料を払いたくないのです。

 資本家も人間です。感情や欲があります。少しでも多くの利潤を自分のものとして確保したいと思っていますから、労働者には出来るだけ安い賃金で長時間働いて欲しいのです。

 したがって、資本家は労働者に正当な対価を支払わないという問題が発生します。

なので、どんなに実力があって仕事が出来る人でも少ない給料しかもらえません。資本主義社会は私的利潤を認めているが故に、このような結果になってしまうのです。

 時間労働でヘトヘトになっても、給料は少なく、ほとんど資本家のもとに行きます。

給料は働いた分しかもらえず、病気になったら「はい、さようなら」と会社を辞めさせられる。

 さらに、資本家と労働者には越えられない壁が存在します。資本家は資本という生産手段を私有しているため、労働者より立場が上です。もし、労働者が雇い主である資本家に対し、暴動を起こしたら、労働者は解雇されてしまいます。 

 このような資本主義の問題点を解決するにはどうすれば良いのでしょうか。そこで生まれたのが、社会主義です。

 社会主義とは、何でしょうか。

 社会主義とは、生産手段を国家が共有・管理することによって人々が平等に暮らせる社会を実現しようとした政治思想です。

 社会主義では、まず、資本家のような個人が生産手段を私有する制度を禁止し、全て国の財産として共有するようにすれば、資本家と労働者という階級や対立は解消すると考えました。さらに、資本家のような個人が利潤を追求することも禁止しました。その結果、労働者は搾取から解放され、給与を均等に分配することが出来るのです。

いわば、資本主義とは資本家に都合のよい「資本家の国」であり、対する社会主義とは労働者に都合の良い「労働者の国」なのです。

「○○主義」とは「○○が一番エライ」という意味です。資本主義とは、生産手段を持っている資本家が一番エラく、権力者です。社会主義とは生産手段を持っている国(官僚)が一番の権力者なのです。社会主義の「社会」とは、「国」と置き換えることも出来ます。

 

 また、資本主義社会は、自由競争市場経済を軸とした社会になります。人々は自由に職業を選ぶことが出来ますし、自由に商売をすることも出来ます。

 つまり、資本家になるか、労働者になるか選べるのです。

 資本家になるには、「自分はどのような職業や分野に適正があるかを見極め、その分野から、今後どのような商品が必要とされるかを市場調査やマーケティングを行い、商品の企画・開発・製造・販売の計画を全て立てます。」

 そして、ライバル社と競争し、その競争に勝利した資本家はより莫大な富を手にすることが出来るのです。

 

 一方の社会主義は、平等社会計画経済を軸とした社会になります。社会主義では、一人一人が莫大な富を手にすることは出来なくても、皆が平等に給料をもらうことが出来ます。労働者の国ですからね。

 では、市場調査やマーケティングは誰が行うのでしょうか。そう、「国」です。

 消費者は何を求めているのか。生産者はどのくらいいるのか。それを踏まえた上で、何をいつまでに製造し、販売し、必要な人のところに、必要なだけ、必要なときに物資を配り続けることで、世の中に普及させていきます。

 これらは全て国が計画するのです

 例えばガソリン車の製造・販売を計画したとします。ガソリン車を欲しい(だろう)と思っている人達はどのくらいいるのかを調べ、そのガソリン車を製造・販売する企業はどれくらいいるかを調べ、製造計画・販売計画を立てて、国民に実行させていくのです。

 そして、ある程度ガソリン車が人々の手に普及したのであれば、今度は電気自動車を普及させようと国は計画し、実行していきます。それに伴い、需要がなくなるガソリンスタンドも、電気スタンドや道の駅のような今後の需要に合わせて国が計画し、国民に実行させていくのです。

 

 資本主義では、国は市場経済には出来るだけ関与しないようしています。18世紀のイギリスの経済学者であるアダム・スミスは企業同士の競争が行われる市場には需要(買い手)と供給(売り手)の不均衡を自動的に調整する機能があることを指摘しました。資本主義とは、国が関与しない市場経済に任せた自由放任主義なのです。

 

 需要と供給のバランスさえも全て国が計画します。19世紀のユダヤ系ドイツ人であるマルクスの理論では、国が生産手段を所有し、生産計画を立てて、そのノルマを達成していくことが社会主義の経済政策であるとしています。社会主義において、市場とは全て政府の管理下に置かれて動いているのです。

資本主義の問題を解決するために生まれた社会主義も、問題点を抱えており、その問題点は資本主義よりも酷いものとなりました。しかし、21世紀の資本主義は進化を遂げ、ある種の社会主義共産主義のようなしくみになっていきました。  

 

 しかし、社会主義にも問題点がありました。

 社会主義の問題点は大きく3つあります。

 1つ目は、とくかく「ムダが多く」なるという点です。

 国が市場調査や生産計画を立てようとすれば、莫大な時間とお金がかかります。

 例えば、全ての消費者や全ての生産者の情報を収集しようと思えば、調査員である国家公務員の人数は多く必要になり、その分、費用がかかります。

 またマーケティングを完璧に予想することなど誰にも出来ません。万が一、国民が欲しくもない商品を製造してしまったら、とんでもないムダが発生してしまいます。

 さらに生産計画を一歩でも間違えるのもムダの原因です。

 旧ソ連では、実際にある地域で、大量に農産物を作ったはいいが、それを運ぶ物流システムの整備が不十分だったために、そのほとんどを腐らせてしまったという事例が山のようにあります。中国で毛沢東が進めた「大躍進政策」では、中国全土で2000万人の餓死者を出してしまいました。

 今の北朝鮮で多くの国民が飢えに苦しんでいるのも、このためです。国家が市場経済を把握しようとしても、それに失敗しているのです。

 

 2つ目は、科学技術や商品・サービスの質が向上していかないということです。

 労働者はどれだけ頑張って仕事をしても、同じ給料であり、その成果を享受出来ないので、仕事に対してのやる気が大幅に低下してしまいました。科学技術の発展に伴う豊かな生活は、資本主義のような自由競争社会のもとで発展していくのです。

 

 3つ目は、官僚や国家公務員に強大な権限が集中してしまうことです。官僚も人間である以上、感情や欲があります。そのため、官僚達は特定の人から多くの賄賂を受け取り、その人達を手厚く優遇するなど、権力を濫用した汚職事件が多発してしまいます。

 

 こうした社会主義は1960年代に限界に達し、自由や民主主義を求める人々によって否定されました。

 その典型例がドイツのベルリンの壁でしょう。社会主義東ドイツは資本主義の西ドイツが羨ましかったのです。

「我々は、もともと同じドイツ人だったのに、西側の人達は、あんなに豊かな生活をしている。我々東ドイツ社会主義だったために、多くのムダと遅れを出してしまった・・・。」

 そこで、1990年にベルリンの壁が崩壊したのです。

 

 資本主義の問題を解消するために生まれた社会主義でしたが、資本主義の方がまだマシだったというのが、歴史的な答えなのです。今現在、社会主義国家はゼロではないが、ほぼありません。(キューバくらい・・)

 ところで、こうした社会主義の問題点を解消するために共産主義という政治思想も生まれました。

motomiyatakahiro.hatenablog.com

 では、資本主義の問題点は、永遠に解消されないのでしょうか。いいえ。着実に解消に向かっています。

 資本主義がある種の社会主義共産主義のようなしくみに進化しているのです。

 資本主義という自由競争社会の中で、モノが大量に生産され、国民みんながそのモノを所有するようになりました。例えば、所有者はいるけど、使われていない車が世の中に溢れるようになったのです。これをもったいないと考えた所有者は、車を持っていない人に貸し付けることをしました。「モノを所有する社会」から「モノを共有する社会」へと資本主義社会が変化しているのです。これを「シェアエコノミー」と言います。これについては別の記事で。

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

本宮貴大でした。それでは。

 

参考文献

教科書よりやさしい日本史         石川晶康=著   旺文社

学校が教えないほんとうの政治の話     斎藤美奈子=著  ちくまプリマー新書

僕は君たちに武器を配りたい        瀧本哲史=著   講談社