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【宗教改革】カルヴァンの思想はなぜ資本主義を発達させたのか

 こんにちは。本宮貴大です。

 今回のテーマは「【宗教改革カルヴァンの思想はなぜ資本主義を発達させたのか」というお話です。

プロテスタント(新教)にはルター派の他に、スイスの宗教家であるカルヴァンによるカルヴァン派も生まれました。カルヴァン予定説を唱え、ルター派同様に職業召命観も示しました。それは「お金儲けは卑しい行為ではない。堂々とお金儲けをしなさい」という思想で、商工業者を中心にヨーロッパ各地に広まり、資本主義の発達を促しました。

 

  ドイツではルター宗教改革を起こしたことで、カトリック(旧教)から独立してプロテスタント(新教)がルター派として生まれました。ドイツではルターとローマ皇帝カール5世によるシュマルカルデン戦争が勃発しますが、結局、1555年にアウクスブルクの宗教和議によってドイツでは諸派の信仰の自由が認められました。

 

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  同じ頃、ルターの宗教改革に共鳴し、スイスではカルヴァン宗教改革を行いました。その思想は「人が救われるかどうかは全て神が知っている」という予定説です。つまり、「あなたの一生はあらかじめ、神によって決められている」ということです。

 カルヴァンの予定説でも、ルター同様に神とは全知全能の存在であるとされています。したがって、人間一人一人の人生をあらかじめ知っています。しかし、人間はそれを変えることはおろか、知ることも出来ないとされています。

 例えば、ある人に不幸や災いが起きても、それは神のご意向があって起きたことだからそれを受け入れなくてはいけないということです。

 現代の私達からすれば、違和感たっぷりの思想ですが、当時は画期的で多くの支持者を得ることが出来ました。逆に言うと、そのくらい中世ヨーロッパを支配したカトリックの教えは腐敗し、人々を縛りつける息苦しいものになっていたということが伺えます。

 

 カルヴァンもルター同様にあらゆる職業は神から与えられた神聖なものであるという職業召命感を示しています。現代でいうと、一流企業の会社員だろうが、コンビニ店員だろうが全てです。

 しかし、カルヴァン派の職業召命観はかなり厳しい規定がされています。労働とは神から与えられた使命であり、私利私欲を捨てて、ひたすらその労働に励みなさいという規定で、それによって神の栄光をこの世に実現出来るとしました。

 すなわち、「勤勉・禁欲」こそが美徳であり、聖書に書かれた神の教えを忠実に守るという清教徒(ピューリタリズム)の思想です。

 一方で、神の使命である労働によって、得られたお金はしっかり受け取って良いとされました。つまり、「お金儲け何ら卑しい行為ではない。しっかり働いて得たお金ならば堂々と受け取って良い。そこに後ろめたさなど感じる必要はない」という教えです。

 もしかして、それまでのカトリックの教えで「お金儲けは卑しい行為。奉仕の精神が大切だ」という教えでも刷りこまれたのでしょうか。

 この考えは農民だけでなく、それなで卑しい職業とされてきた商工業者に幅広く支持され、ルター派以上の信者を獲得していきました。ここから、ヨーロッパの資本主義が発達していくのです。

 

 その後、カルヴァンの思想はヨーロッパ各地に広がり、スイスからフランス、オランダ、そして北海を渡ってイギリスへと伝わっていきました。なお、このカルヴァン派は各国でそれぞれ呼び名が異なり、フランスではユグノー、オランダではゴイセン、イギリスではピューリタンと呼ばれています。これが後にフランスではユグノー戦争、オランダのスペインからの独立、イギリスでは清教徒革命を引き起こすのでした・・・・。

 

 このようにカトリックから独立し、新教としてルター派カルヴァン派が出来たことで、カトリックの信者が減ってしまいました。そこでカトリックは「信者増強組織」としてイエズス会を設立し、信者を求めて海外で布教活動を始めます。これは日本にも波及し、1549年に日本の鹿児島に上陸した宣教師のフランシスコ=ザビエルはイエズス会の上層部の一人だったのです。信長の時代にやってきたルイス=フロイスもその一人です。

 以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

本宮貴大でした。それでは。

 

 参考文献

日本人のための世界史入門 小野野敦=著 新潮新書

教科書よりやさしい世界史  旺文社