【ガリレオ】天動説から地動説へ(後篇)
こんにちは。本宮貴大です。
今回のテーマは「【ガリレオ】天動説から地動説へ(後篇)」というお話です。
ガリレオは実験や観察を通じ、地球は動いていることを提唱。従来の神が意図した自然を探求しようとする目的論的自然観を取り払い、どのような自然法則で動いているかという機械論的自然観の立場から自然をとらえ直そうとします。ガリレオは「地球はうごいている」ことを発表するも、キリスト教会から迫害を受けてしまいます。
15世紀~16世紀、日本では1467年の応仁の乱をきっかけに戦国時代が到来し、人々が熱狂していた頃、西洋ではイタリア(フィレンチェ)でルネサンスの時代が到来し、その気運はヨーロッパ各地に広がっていました。
ルネサンスが到来したことで、天上界や地上界などの神が創造したとされる自然観を取り払い、実験や観察などの人間の感覚によって自然をとらえ直そうとする気運が高まりました。すなわち、新しい学問の土台が創られたのです。
ポーランド人の天文学者・コペルニクスは従来の天動説を180度覆し、地動説を提唱。さらに、コペルニクスは太陽を中心として、その周りを他の惑星が回っていることを提唱するものの、その考えは天上界と地上界の区別が出来なくなるとして当時の人々には受け入れられませんでした。
そして1564年、日本では織田信長が桶狭間の戦いで今川氏を討ち取り、その名を全国に轟かせていた頃、西洋ではイタリアでガリレオ・ガリレイという天才物理学者が生まれました。
中世ヨーロッパでは物体の落下など自然界で起きる現象はすべて神が何らかの目的をもって創造したものだと信じられてきた。
人々は「何のために」という関心から自然ととらえようとする目的論的自然観の立場をとっていました。
「神は何のためにこの落体運動を生み出したのだろう。」
対するガリレオは「どのように」という関心から自然をとらえようとする機械論的自然観の立場をとっていました。
「この落体運動はは一体どのような法則ではたらいているのだろう。」
つまり、物体にはたらく力は神の創造物ではなく、自然界の法則によって動いているだけなのではないかというとらえ方です。
ガリレオは望遠鏡による天体の観察、ピサの斜塔での落体の実験など何よりも観察や実験を重視します。
ピサの斜塔での落体の実験では、古代ギリシャ以来の考えを覆します。
古代ギリシャでは「塔の上から石を自由落下させた時、地球が動いていれば、石が地面に落下するまでの間に地面は動いてしまう。すると、真下には落下せず、ずれた位置に落下するはず。しかし、そうはならない。だから地球は動いていない」という考えでした。
この考えは中世ヨーロッパにも引き継がれましたが、ガリレオは物体には慣性の法則が働いていることを発見し、この慣性の法則によって地球は動いていることを証明しました。
(慣性の法則・・・車を運転し、急ブレーキをかけた時に前傾してしまうあの現象です。運動していた物体はその運動を続けようとするのです。)
例えば海上を水平方向に移動している船を想像してみてください。その船のマストの上から物体を離したら物体はどのように落ちるでしょうか。物体は船とともに水平方向に進んできたのだから、手から離れた後も、慣性により船と同じ速さで水平方向に進みながら自由落下することになります。
船を地球、マストをピサの斜塔と考えれば、地球が動いていたとしても塔の真下にボールが落下します。塔の上から落としたボールは慣性のよって地球とともに動くので、塔の真下に落ちるのです。
こうして1632年、ガリレオは、「地球は動いている」という理論をまとめた『天文対話』という著書を発表します。日本では江戸幕府3代将軍・徳川家光の時代で鎖国政策が始まった頃になります。
しかし、この著書を発表したことでガリレオは教会から激しい迫害を受けました。天動説はキリスト教と一致した考えであり、それを覆したガリレオの地動説はキリスト教の否定にもつながってしまったのです。ガリレオは異端審問諸に呼ばれたうえに、地動説を捨てることを強引に誓わされます。
ガリレオはフィレンツェ郊外の村に軟禁されてしまいました。しかし、彼の旺盛な探求心は衰えることはありませんでした。
その後、ドイツ人のケプラーが各惑星は楕円軌道を描いて運動しているという惑星運動の法則(ケプラーの第一法則)を発見。
そして、ガリレオの地上での法則、ケプラーの宇宙(天)での法則という一見、無関係に見える2つの事柄を見事に結び付け、同じ事柄であると考えたのがイングランドの天才物理学者・ニュートンという人物になります。
ニュートンはリンゴの落体から万有引力を発見しますが、リンゴの落体も月の公転運動も地球から同じ万有引力が働いていることを発見しました。
(興味ある方は、物理学の歴史を勉強してみてください。)
この万有引力の法則は物理学の基礎として現代の私達も学んでいます。
ガリレオによって自然とは機械のようなしくみを持っていることが分かりました。やがてその自然のしくみを知り、加工することで、人類の生活向上や発展をもたらすと主張する人物が現れるのでした・・・。
以上
最後まで読んで頂き、ありがとうございます。
本宮貴大でした。それでは。
参考文献
図解雑学 物理の法則 井田屋文夫=著 ナツメ社