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【神の見えざる手】リスクとリターンはなぜつり合うのか【アダム・スミス】

 こんにちは。本宮貴大です。

 今回のテーマは「【神の見えざる手】リスクとリターンはなぜつり合うのか【アダム・スミス】」というお話です。

 

 18世紀後半、日本は江戸時代の中頃、イギリスでは世界に先立って産業革命が起こりました。

 産業革命とは、「今まで手で作っていたものを、機械で作る」ということですが、機械を使うことで、大量生産が可能になり、商品をより安い価格で提供出来るようになったのです。その結果、人々の暮らしは便利になり、人口も増加し、寿命も延びるようになっていくのでした。

 ところで、資本とは何でしょうか。

 資本とは、モノ(価値)を生み出す元手となるもので、この時代でいえば、土地、工場の建屋、機械設備、従業員などです。資本家はこれらを駆使してモノをつくり、利潤を生み出していくのです。こうしたモデルが主流の社会のことを資本主義社会と言います。

 

 今回の主人公はアダム・スミス(1723~1790)ですが、彼の著書に『国富論』というものがあります。この中には、「自由放任」という考えが述べられており、経済とは、国や政治が介入することなく、自由に任せておけば、需要と供給のバランスが自動的に調整されるとし、スミスはこれを『神の見えざる手』と呼びました。

 

 詳しいことは当記事では割愛しますが、要するに市場経済における需要と供給は自動的に調整され、やがて適正価格に落ち着くということです。

 

 では、前置きはこのくらいにして、本題に入ります。それでは、この自動調整機能をキーワードにリスクとリターンの関係について見ていこうと思います。

この世に存在するビジネスモデルはローリスクローリターン若しくはハイリスクハイリターンしかあり得ない。それらは全て「神の見えざる手」という自動調整機能が働いているのです。

 

  この自動調整機能は金融市場においても同じことが言えます。具体的にはリスクとリターンが釣り合うのです。リスクとは儲かるか損するかのバラツキの大きさのことを言い、リターンとは、期待出来る儲けの大きさのことを言います。

 原則、リスクが大きくなれば、リターンも大きくなり、逆にリスクが小さくなれば、リターンも小さくなります。これは原則なので、例外はありません。

 金融市場がしっかりと機能していれば、全ての金融商品はローリスクローリターンとハイリスクハイリターンのどちらかに落ち付きます。

 例えば、あなたが一万円を持っていたとして、それを金利1%で銀行に預けるとします。すると1年後には100円の利息がついて元金は1万100円になります。100円ではジュース1本すら買えませんが、銀行預金は日本国が1000万円まで保護してくれるので、あなたのお金は安全です。ローリスクローリターンです。

 一方、あなたはその一万円でどこかの会社の株式を購入することも出来ます。株の値段は会社の業績によって変わるので、1年後には倍の2万円になっているかもしれないし、半分の5000円になっているかもしれません。ハイリスクハイリターンです。

 金融市場ではこのようにリスクとリターンは釣り合っています。リスクを取りたくなければ、小さな利益で我慢するしかありませんし、ドカーンと儲けたければリスクを取らなくてはなりません。

 人は、リスク(危険)と聞いた瞬間に手を出したくなくなります。逆にリスクが小さく、大きなリターンが得られると思うと、手を出したくなります。この感情がリスクとリターンの自動調整機能をもたらすのです。

 

 実はこの自動調整機能は、金融商品に限らず、世の中に存在する全てのビジネスモデルにも当てはまります。言えます。ビジネスモデルとは簡単にいうと儲けるための手段ですが、市場原理がまともに機能していれば、ローリスクハイリターンとハイリスクローリターンはあり得ません。

 

 ローリスクハイリターンの場合、需要(欲しい人)が多くなる、つまりみんなが手を出すので、パイの奪い合いになる。その結果、一人当たりのリターンが小さくなり、ローリスクローリターンになるのです。

 一方、ハイリスクローリターンの場合、需要(欲しい人)がなくなる、つまり見向きもされないので、パイは奪い合いにならない。その結果、上手くいった人が大きなパイをゴソッと得ることが出来るので、ハイリスクハイリターンになるのです。

 

 ローリスクローリターンの典型的な職業は、公務員でしょう。公務員は安定しています。毎月、給料日に確実に給料がもらえ、解雇される危険性もありません。ローリスクです。ところが、その給料に関しては、税金という限られたパイの奪い合いになるので、一人あたりの給料は小さくなります。ローリターンです。

 サラリーマン(民間)も基本的には同じで、利益という会社の限られたパイの奪い合いになるので、ローリターンになります。

 

 ハイリスクハイリターンの典型的な職業は起業家や経営者でしょう。彼らはいわゆる「高給取り」と言われる職業です。ハイリターンです。しかし、それは仕事をとれるかとれないかに左右されるため、確実ではありません。ハイリスクになります。

 

 あるコンビニオーナーは、「フランチャイズのコンビニ経営は条件が悪すぎる。」と言っていました。「ロイヤリティーが高すぎて、リターンが少ない」というのです。しかし、それは当然で、大手コンビニチェーン店というある程度売れる商品を使って商売をしている以上、経営のリスクを冒していないため、リターンは少なくて当然です。

 

 フランチャイズビジネスで儲ける場合、多店舗展開をする必要があります。さらに、それは、そのオーナーのスキルにかかっているので、確実ではありません。すなわち、ハイリスクハイリターンになるのです。

 

 ビジネスでリターンを得る場合には、お金や時間、労力を使って知識やスキルを向上させていかなくてはなりません。つまり、リスクをとる必要があるのです。

 

「大きなリスクは冒したくない。だけど大きなリターンは得たい。どこかにそんなビジネスモデルはないかなぁ~」

 これだけは辞めてください。そんなことをしていると、10年20年はあっという間に過ぎてしまいます。本当です。しかし、そう思っている人達が非情に多いです。だからいつまで経っても夢が叶わないのです。

 

 繰り返しになりますが、基本的に世の中にあるビジネスモデルは、ローリスクローリターン若しくはハイリスクハイリターンのどちらかしかありません。リスクを取りたくなければ、小さな利益で我慢するしかありませんし、ドカーンと儲けたければリスクを取らなくてはなりません。

 

 週末起業や副業が流行っている昨今ですが、「副業でもして給料以外に小遣い稼ぎでもしよう!」という軽い気持ちで始めても一円たりとも稼げません。副業といっても商売です。甘くみてはいけません。ある程度勉強して、ある程度お金を投資して知識やスキルを向上させ、ある程度の期間は報酬を我慢する必要があります。その覚悟がないと絶対に挫折します。

 

以上

最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

本宮貴大でした。それでは。

 

参考文献

残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法   橘玲=著 幻冬舎